第1章海洋についての基礎 1.1 海はどのような姿をしているか?

海と陸地

 まず地球での海の位置づけについて整理しておきたいと思います。

 図 1-1-1 は地球を宇宙から眺めたところです。白い部分が陸、青が海です。陸に比べて海の面積の方がはるかに大きいですね。

 地球表面の面積は約 5 億 1000 万平方キロメートルです。海の面積は約 3 億 6000 万平方キロメートルですから、地球の面積の約 7 割が海なのです。図 1-1-1 では、北半球より南半球の方が海の割合が大きいように見えます。実際その通りで、北半球では海と陸地の比が 3 対 2 ですが、南半球では 4 対 1 と海が圧倒的なのです。

図 1-1-1 地球の姿

  つぎに海の深さについて見てみましょう。海は決して平坦ではありません。図 1-1-2 に示すように山もあれば谷もあります。最も深いところはマリアナ海溝で、その深さは約 11,000 mです。世界一高い山であるエベレストが 8,850 mですから、それよりも深いことになります。平均的な深さは 3,800 mくらいで、陸でいうと富士山くらいになります。

 つまり、海は非常に大きな体積があり、ここに大量の海水が蓄えられています。

図 1-1-2 海の深さ
出典:環境省ホームページ
https://www.env.go.jp/nature/biodic/kaiyo-hozen/favor/favor02.html

海水量

 では、海に蓄えられている海水量はどのくらいでしょうか? 図 1-1-3 を見て下さい。海水の量は 1,338,000千 km3 です。地球上の水の総量は 1,386,000 千 km3 ですから、なんと地球の水の 96.5 % が海に蓄えられていることになります。なお、海にある水は塩化ナトリウムを主成分とする「塩水」で、私たちが飲料や農業等に利用できる「淡水」は地球全体に存在する水量のほんの一部であることを認識しておく必要があります。

図 1-1-3 地球上の水の量
出典:国土交通省「日本の水資源」(平成17年)

 海の水は蒸発して雲を作り、雨となって海や陸地に降り注ぎ、土に吸収されるとともに、川となって海に流れ込むなど、常に動いています。図 1-1-4 に水の形態別の滞留時間を示しています。海における水の平均滞留時間は 2,500 年と長いですが、大気はたった 8 日です。つまり、地球上の水の大部分が海に集められ、いったん集められた水はあまり動かないのです。

図 1-1-4 地球上の水の滞留時間
沖ら 地学雑誌116巻31-42頁(2007)を基に作成

(更新 2022.年10月14日)