講座 ほんとうのカーボンニュートラル

 2020 年 9 月に菅内閣が発足し、日本も 2050 年に「カーボンニュートラル」を目指すことを宣言して以来、この言葉を目にするようになりました。産業界はこぞって「カーボンニュートラル」の取り組みを発表しますし、テレビコマーシャルにもこの言葉が多用されるようになりました。カーボンニュートラル自動車保険まで現れています。では、この「カーボンニュートラル」、いったいどんな意味があり、その実現性はどのくらいのか、考察した人はどのくらいいるのでしょうか? 

「カーボンニュートラル」という言葉だけが流通しようとしています。十分にその意味を理解せずに、「カーボンニュートラル」を唱える信者が増えつつあります。これは危険だ!と筆者は考えます。

「カーボンニュートラル」という概念がどのようにして生まれ、なぜそれが国の目標になり、その実現には何が必要で、その達成は可能なのか? また、どんな代償を払うことになるのか? みなさんの議論の材料となるように、カーボンニュートラルについてのできるだけ分かりやすく解説が必要だ。それも形ばかりのものではなく、その「真実」を示すことが重要だ。これがこの講座を開設する動機になっています。

 2020 ~ 2022 年度の 3 年間、私は公立鳥取環境大学で非常勤講師として「海洋エネルギー論」を教えてきました(その内容が連載講座「海ーエネルギーと環境」です)。そしてその講義の中で、カーボンニュートラルについても考えました。本講はその内容をベースにしています。それに加えて、かなりたくさんのことを追加しようと思っています。できるだけ多くの方に、読んでいただけたらと思います。では、始めましょう!

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